旧石器時代・総論

Japanese | English

最初の大量絶滅 – 人類は共存者だったのか – 

約7万年前。
現生人類 Homo sapiens は、アフリカを出た。

その後の数万年で、人類はユーラシア、オセアニア、そしてアメリカ大陸へと拡散していく。
この移動は、地球史の中でも異例の速さだった。

そして・・・
その足跡と奇妙なほど重なるように
地球上から数多くの大型動物が姿を消していく。

これが、
人類史上初の「大量絶滅」と呼ばれる現象である。

それは本当に「自然な絶滅」だったのか

長い間、この絶滅は
「氷期の終わりによる気候変動」が主因とされてきた。

確かに、環境は変化していた。
寒冷な草原は縮小し、森林や湿地が拡大していく。

しかし近年、古生態学・考古学・年代測定の進展により、
次の事実が明確になりつつある。

  • 大型動物の絶滅時期は大陸ごとに人類到達直後
  • 気候変動だけでは説明できない急激な消失
  • 化石に残る石器による切断痕や解体痕

これらは、
人類の存在が決定的な要因だった可能性を強く示している。

旧石器人は「特別な捕食者」だった

旧石器時代の人類は、
人口も少なく、技術も未熟だった。

それでも彼らは、
生態系にとって質的に異なる存在だった。

  • 武器を使う
  • 集団で狩る
  • 獲物の行動を予測する

次の季節を計算する

これは、
自然界に存在しなかったタイプの捕食圧だった。

数が少なくても、影響は圧倒的だった。

なぜ大型動物から消えたのか

最初に消えたのは、
例外なく「大型で、繁殖速度の遅い動物」だった。

  • マンモス
  • ケブカサイ
  • メガテリウム
  • グリプトドン
  • アイルランドオオジカ

彼らには共通点がある。

  • 一度に産む子は少ない
  • 成熟までに時間がかかる
  • 人類を恐れる進化的経験がない

わずかな狩猟圧でも、
個体群は回復できなかった

絶滅は「意図されたもの」ではなかった

重要なのは、
旧石器人が「絶滅させよう」と考えていたわけではない、という点だ。

彼らは生きるために狩った。
資源を最大限に活用し、移動し、子を育てた。

それでも結果として、
取り返しのつかない変化が起きた。

人類は、
史上初めて
「生態系全体を変えてしまう存在」になった。

共存者だったのか、それとも破壊者だったのか

では、人類は
「共存者」だったのだろうか。

答えは、単純ではない。

旧石器人は、
自然を征服しようとしたわけではない。
しかし、共存に必要な「限界」を知らなかった。

共存を意図しなくても
共存は成立しないことがある

この時代、
人類はすでに
「自然の一部」であることを超えていた。

最初の大量絶滅が残したもの

旧石器時代の大量絶滅は、
近代文明の副産物ではない。

それは、
人類という種の特性が、初めて表面化した瞬間だった。

  • 知性
  • 技術
  • 社会性
  • 予測能力

これらは、
同時に「破壊力」でもあった。

私たちは、何を引き継いでいるのか

現代の大量絶滅(第6の大量絶滅)は、
旧石器時代の延長線上にある。

違うのは、
規模と速度、そして自覚の有無だけだ。

私たちはすでに知っている。
行動が生態系を変えることを。

それでもなお、選択している。


最初の大量絶滅は、
誰にも宣言されず、
誰にも記録されないまま起きた。

ただ、命が減り、
世界が静かに変わった。

その中心に、
人類はいた。

この歴史を知ることは、
罪を問うためではない。

未来において
初めて「共存を選ぶ」ためである


絶滅生物 関連書籍

だいたいヒトがやらかしました 絶滅生物事典

著:今泉忠明 ほか
人為的な絶滅の事例に焦点を当てた入門事典。

絶滅生物ビジュアル大図鑑

出版社:洋泉社(MOOK)
豊富な復元イラストと解説で視覚的に理解できる図鑑。

日本の古生物大研究 ― 絶滅した生き物

出版社:PHP研究所
日本列島の化石記録と人類の関わりを掘り下げる一冊。

The Illustrated Encyclopaedia of Extinct Animals

Language: English
英語のフルカラー図鑑。

Why We Went Extinct

An Illustrated Encyclopedia
絶滅の原因を横断的に整理した図解入り解説書。
最近の記事
絶滅動物
PAGE TOP