Japanese | English
– 草食獣を失った捕食者 –
ディプロトドン × サーベルタイガー
巨大な草食獣がいた世界には、
それを狩る捕食者が存在した。
ディプロトドンが歩く大地には、
サーベルタイガーが潜んでいた。
この二者は、
敵同士でありながら、
同じ生態系の中で相互に支え合う存在だった。
だが、その均衡は、
人類の到来によって同時に崩れる。
片方が消えれば、もう片方も消える
生態系は、
個々の種の集合ではない。
それは、
- 草食獣
- 捕食者
- 植生
- 環境
が結びついた、関係の網である。
ディプロトドンは、
大量の植物を消費し、
景観を維持する存在だった。
サーベルタイガーは、
その巨体を狩ることで、
個体数と世代交代を調整していた。
どちらが欠けても、
均衡は保てなかった。
人類は、どちらを消したのか
人類は、
まずディプロトドンを消した。
- 狩猟対象として
- 火を使った景観改変によって
- 水場と移動経路の掌握によって
巨大な草食獣は、
ゆっくりと、しかし確実に姿を消した。
サーベルタイガーは、
直接は狩られていない。
だが、
- 獲物がいない
- 狩場が分断された
- 高カロリー食が成立しない
この条件下で、
生き延びることはできなかった。
捕食者は「最後に死ぬ」
生態系の崩壊では、
捕食者はいつも最後まで残る。
それは強いからではない。
最後まで依存先が残っているからだ。
だが、
依存先が完全に消えた瞬間、
捕食者は一気に崩壊する。
サーベルタイガーの絶滅は、
生態系がすでに死んでいた証拠でもある。
適応できなかった理由
サーベルタイガーは、
小型獲物への転換ができなかった。
- 牙は繊細
- 狩猟は大型獲物前提
- 群れ戦略に依存
それは失敗ではない。
それまでの世界では、正解だった。
ディプロトドンが存在する限り、
その戦略は完璧だった。
人類が変えたのは「量」ではない
重要なのは、
人類が単に「獲物を減らした」のではない、という点だ。
- 狩る
- 焼く
- 移動させない
- 回復させない
人類は、
生態系の再生能力そのものを断った。
それは、
捕食者にとって最も致命的な変化だった。
二つの絶滅が示す一つの事実
ディプロトドンとサーベルタイガーは、
同時代に、
同じ理由で、
異なる形で消えた。
- 草食獣は「直接的に」
- 捕食者は「間接的に」
だが原因は一つ。
人類という、
生態系全体に作用する存在の出現である。
現代への静かな警告
現代でも、
同じ構図は繰り返されている。
大型草食獣が減り、
その捕食者が消え、
生態系が単純化していく。
私たちはすでに知っている。
捕食者の絶滅は、
生態系が末期に入ったサインだということを。
ディプロトドンを失ったとき、
サーベルタイガーの運命は、
すでに決まっていた。
捕食者は、
獲物がいなければ生きられない。
そして人類は、
その両方を同時に失わせる力を、
すでに旧石器時代に持っていた。